里山を守るのに大切なのは、社会性のある里山活用例を応援すること

レジャーの場としても有望(写真はイメージ)
レジャーの場としても有望(写真はイメージ)

生物多様性年だった昨年、日本のSATOYAMAが世界に発信されました。しかし、いまも里山の開発や荒廃に歯止めがかかっていません。その大きな理由は、食料の海外依存や、燃料転換などにより、里山が本来の役割と経済価値を失ったことにあります。

 

しかし、昨年、生物多様性の砦としての価値が知れ渡ったように、里山はいまも多くの価値を秘めています。ただ、多くの人がそれらの価値に気づいていないのです。また、保全し続けられるほどの経済価値を生み出せていないという実情もあります。

 

そこで里山保全再生ネットワークでは、社会から求められるような里山の新たな価値を発掘することや、活動が持続するように応援していくことが大切だと考えながら、「里山物語」からの寄付金を運用しています。昨年の夏に支援を開始したこどものホスピス「海のみえる森」もその一つです。セラピー効果が期待できる里山などで、利用者が心と体を休めるこの施設は、病児やそのご家族だけではなく、社会からも求められているものです。

 

いま、この事例のように社会性が高く、かつ里山のポテンシャルを活用した施設が各地で立ち上がりはじめています。里山を活用したソーシャルファーム(障がい者などの弱い立場の人たちが自立を目指す労働の場)や、里山を活用した幼稚園などがその一例です。里山を残すためには、このような事例に注目して、積極的に応援していくことも大切なのです。

 

20114月 中越パルプ工業社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.5を転載)