人といきもののつながりが感じられる、真冬のバードウオッチング

出水のツル渡来地(鳥インフルエンザの感染拡大が懸念されますが、一日も早い終息を願っています)
出水のツル渡来地(鳥インフルエンザの感染拡大が懸念されますが、一日も早い終息を願っています)

紅葉が終わり、里山は静かな季節を迎えました。でも、生きものがまったくいなくなったわけではありません。冬枯れの里山を歩くと、方々から野鳥の鳴き声が聞こえてきます。実は冬の里山は、バードウオッチングに最適な環境なのです。

その理由は、一年中、里山で暮らす「留鳥」に加え、エサが豊富な日本で冬を過ごす「冬鳥」が多く飛来することにあります。加えて、木々が葉を落としているので、野鳥を見つけやすくなるというわけです。

 

とは言え、すばしっこい野鳥を追いかけるのは至難の業ですね。そんなときは、ため池や、流れの緩やかな川に行ってみましょう。マガモやキンクロハジロなどの冬限定で訪れるカモ類が待っています。彼らは大型なので、比較的簡単に観察することができます。

 

冬鳥の中には、渡来地が国の天然記念物に指定されている鳥もいます。例えばツルです。11月中旬、鹿児島県出水市のツル渡来地を訪ねたところ、早くもたくさんのツルが飛来していました。イネの二番穂や、田んぼの雑草、昆虫、小魚など、エサが豊富なために渡ってくるようになったと考えられています。

 

ツルの渡来地も冬の里山も、農耕という人の営みが多くのいのちをはぐくむことを物語ります。そんな景色と出会いに、冬のフィールドへと足を運んでみませんか。

 

20111月 中越パルプ工業社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.4を転載)