里山はエネルギーの供給基地としても大活躍

小水力発電所の一例。この発電所は明治時代生まれ。約600kWを発電しています。
小水力発電所の一例。この発電所は明治時代生まれ。約600kWを発電しています。

 生物多様性の面で注目が集まる里山。一方で近年は「再生可能エネルギー」を生み出す場としても注目を集め始めているのをご存じでしょうか。

 

 里山から生まれる再生可能エネルギーの一つが、木質バイオマスです。古くから木は薪や炭として利用されてきましたが、現在では木質ペレット燃料や、バイオマス発電の燃料などとして活用されるようになりました。

木質ペレット燃料は、木くずを圧縮成型した固形燃料です。ペレットストーブの燃料として利用されているほか、冷暖房プラントの燃料に利用している例(岡山県真庭市庁舎)や、石炭と混ぜて発電に利用している例(関西電力)もあります。

 

 発電と言えば、中パさんも川内工場でバイオマス発電設備の建設に取り組み始めましたね。木質バイオマス発電は、大気中の二酸化炭素量を増やさず(燃やしても生長時に吸収した二酸化炭素が排出されるだけなので、±ゼロと考えられています)、素材の木が比較的短期間で再生可能であり、廃熱を暖房に使えるなど、多くのメリットがあるのです。

 

 里山では水力発電により電気を作り出すこともできます。川や農業用水などの流れを使ったり、落差をつくりだしたりすることによって、水車やタービンで小型発電機を回す発電方法で、出力によって小水力発電、ミニ水力発電、マイクロ水力発電、ピコ水力発電などと呼ばれています。発電時に二酸化炭素を排出しないのはもちろんのこと、一定の水流があれば気象条件に左右されずに発電できることや、自然破壊を伴うダム建設が不要といった特徴があります。

 

 このほか、酪農などで飼育されている家畜の排せつ物からバイオガスをつくりだす試みも始まっています。まさに里山は、「エネルギーの宝庫」とも言えるのです。

 

(2013年11月 中越パルプ工業社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.15を転載)